蝉時雨

2010年7月28日 雑記
子供の頃田舎育ちの私は普通に外で遊んでいた。一人だったり友達と一緒だったり時と場所により違っていても家の中よりは外で遊ぶ事の方が多かったと思う、小学校に入るまでは。

夏になるとよく蝉を捕りに行った。弟と一緒に網を片手に午後から夕方まで駆け回って虫かごいっぱい50匹以上取ったこともある。・・・流石に母に気持ち悪がられアパートのベランダから放したこともよく覚えている。

子供の頃蝉取りをした時、一番取れたのはつくつく法師だ。次いでミンミンゼミ(アブラゼミ)、次がニイニイゼミ、そしてクマゼミの順だったと思う。夕方に声が聞こえるひぐらしはたぶん捕まえられたことはなかった。
周囲に響く鳴き声だけでは体が大きいクマゼミの声がつくつく法師にも劣らないのだが、クマゼミは大抵木の高いところにいるため子供では届かなかったり見えなかったりするため捕まえにくい。
そんなわけで木の下の方にいるつくつく法師やニイニイゼミが捕まえやすかったのだろうと思う。

蝉と言って思い出すのは愛知県に行った時のことだ。私の両親は愛知出身のためお盆と正月には帰省していた。面白いことに母の実家の愛知県岡崎市で蝉と言えばほとんどミンミンゼミなのだ。
街の中にいても神社仏閣の木を見ても見つかる蝉はミンミンゼミ。9割以上がそうなのではないかと祖父が教えてくれた時にはそれこそ目から鱗的な気分だった。わずかにクマゼミの声がするのだが見つからないのは静岡にいる時と同じなので、網を持って駆け回ってもミンミンゼミ以外の蝉を捕まえられることはなかった。
ところ変われば違うことがあるのだと言うことを言葉以外でも知った出来事だった。

さて、梅雨明けした直後からいきなり真夏になってしまったのだが、時同じくして蝉時雨も一気に激しくなった。まだ明るくなり始めた頃からシャアシャアと蝉の声が響き渡っている。
毎朝その声に眠りを妨げられるのだがその声を聞いていてふと持った。

つくつく法師の声がしないな

聞こえるのはシャアシャアというクマゼミの声ばかり。よくよく耳を澄ますとわずかにミンミンゼミの声が混じっていることがわかる。ニイニイゼミは体が小さく音が低いので近くに寄らないとあまり鳴き声がしないので仕方ないと思うが、つくつく法師はその独特の鳴き方で他の蝉の鳴き声には混じらないはずなのに聞こえてこない。

私が蝉を捕まえていた頃から30年ほど時間がたっている。あの頃に比べ土の見える土地も減った。雑木林もみかんなどの果樹もその数を減らしている。その為に生態系もその頃とは違ってきているのかもしれない。
時間の流れというものをふと感じてしまう、そんな時自分はどこに流れていくのだろうと感傷的な思いに囚われてしまう。

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