採点競技についての問題点はそれが主観というか思惑によって左右されがちなことだ。思惑ーというか言ってみれば政治力、そのスポーツ世界の中での権力に振り回され結果本当ににそれが正しい順位・点数なのかと疑問を持たせる判定がでてしまうことにある。

採点競技は色々あるが、オリンピックの舞台において大きくその不正が取り上げられたのが、ソルトレイクオリンピックにおけるフィギュアスケートだ。ミスをした組が勝ちしなかった組が2位となり抗議しジャッジの不正があったと言うことで両者金メダルになった。
だがその当時の採点法ではミスがあるないで結果が決まるのではなかった。芸術性と技術性が別々に採点されその合計で決まっていたからミスをして技術点が下がっても芸術点がそれをカバーすれば勝てたのだ。
どちらかと言えば当時の騒動はフィギュア大国ロシアの勢いをそぎたい北米勢力との権力闘争に利用されたように思えて仕方ない。

その結果生まれたが新採点方だ。演技を全体的に審判が主観で決めるのではなく行ったエレメント一つ一つに得点をつけその合計で競おうという物だった。
それまでのように審判に覚えられないと点数がでないと言うことは少なくなり高い技術力を持った無名選手が突然上位に出てくるなんて事も起こるようになった。

トリノオリンピックの頃までは比較的この新採点方は上手く使われていたと思う。一度のミスが点数に響くというのは選手にはプレッシャーになっただろうが見ている素人にはわかりやすく説明をされて納得出来たからだ。点数が出やすい技ばかりになってしまうのは多少面白味に欠けた(一時女子はビールマンばかりやる選手が増えたり)がそれほど見ている感覚とずれた採点はなされていなかった。

しかし問題はその後だ。
見ている観客の感覚と採点が奇妙にずれを生じだしたのだ。
その結果、より難しい高度な技をやるよりも簡単な技をやった方が得、というスポーツでは本来あり得ない方向に動き出してしまったのだ。
おまけに審判による加点・減点の基準がわかりにくくまた一定しない。
同じ演技が同じ点数にならない時点でもおかしいが同じ技をして加点が付く選手と付かない選手がある一定の法則で見えだしてくるとこれは何か裏があるのではと勘ぐりたくなってきてしまう。ある意味全体評価の旧採点以上に審判の主観が浮き上がってしまうからだ。

旧採点がそれでも良かったのはある意味でジャッジが責任を持っていたことにある。各審判がその演技を演技全体の中ではっきりと何位と示したからだ。1票とか僅差で判断が分かれた場合には政治力が絡んでしまう事もあっただろうが、たいていの場合は見ている人とそれほど変わりのない判断が出されていたと思う。

しかし今の採点はそうじゃない。審判は採点に責任を持っているようには見えない。そもそもどの審判がこの採点をしたのか明らかにならない時点で責任は放棄されている。
また一つ一つのエレメントの採点においても勝たせたい選手には他より多めに加点をつけ、減点を減らせばいい。ある程度審判団に意志が通っていればみんな同じように「少しずつ」多くすることによって合計が「当然多く」なり、結果、審判団の総意でこの採点がなされた事になるからだ。各ジャッジ一人一人にその責任が負わされる心配がない。
もし加点が多すぎたのでは?と問われればそれは私だけじゃないと言えば良いだけのことだ。これではあまりにも無責任だ。

トリノで行われた世界選手権の結果に今とても失望している。
シングルで男女とも日本人が優勝という喜ばしい結果であるが、こんなに見て後味が悪いのであればこの先もう見るのを止めようかとも思ってくる。
選手達の責任ではないことは先に言う。大抵の選手は今できる精一杯を熱演してくれたと思う。それは素直にたたえたい。
しかしながらジャッジの一貫性のなさは呆れる以外ない。何故それほどのまで点数を調整しようとするのか。一人一人の選手それぞれの演技ではなく最初から枠を作りその枠内で調整しているようにしか見えない。選手のがんばりがその枠を超えることが決して出来なくなっている。これが本当にスポーツの姿なのだろうか?

これが現行のルールだから・・・ここ3年ほどに見られるよくわからない採点のたびにそう言う言葉が聞かれてきた。そしてまた今回も、そう言わざるを得ないだろうか?審判団やスケート協会にはあの会場の歓声とブーイングが聞こえないのだろうか?あの観客の反応こそが真実の結果だろう。
今回の世界選手権の男女シングルの結果について点数はともかく1位は日本人の二人であったことは間違いないと思う。しかし2位以下は違う。確実に違うと思う。それは実際の会場の雰囲気を見れば明らかだ。
ライブ以外のテレビ放映は都合良く編集されてしまいわからないかもしれない。でも探せばライブで流された物があるので是非見て欲しい。最早スポーツではなくなってしまった悲しい喜劇の姿を見ることが出来るはずだ。

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