山は揺れる

2009年8月12日 雑記
昨日のことであるが、早朝静岡県内を激しい地震の揺れが襲った。

静岡県は50年以上前から大規模な地震が起こるといわれ続けているため比較的地震被害には対応されている地域である。そのため震度6以上を記録したのにも係らず他地域で起こった同規模の地震に比べ被害が少なかったようだ。備えあれば憂いなしの良い見本になったのかもしれない。

私は人生の8割以上の時間を静岡県内で過ごしている。確かに地震は頻繁に起こっている気がする。電気の笠がゆれる程度の地震は日常茶飯事かもしれない。

しかしながら大地震が起こるといわれ続けている割に地震で驚いたと思う経験は少ない。今回ほど揺れたと実感できる地震は覚えている限り小学生の低学年までさかのぼらなくてはならない。実に30年近く前の話である。

私の通う小学校は山の麓にあった。700mほどの高さしかないが小学校の北側の窓からはほぼ山しか見えないという田舎の小学校だった。

確か午後のことだったと思う。授業中に何か大きな音が聞こえた。シャベルカーやダンプカーが立てる轟音と少し似ているが響き方が違うその音は徐々に大きく近づいてくる気がした。何の音だろうと教室内がざわめき出した頃にその揺れはやってきた。
山鳴り―――言葉は知っていても初めてその存在を体感した瞬間だった。

その後のことはあまり覚えていない。たぶん今回のようにそれほど大きな被害はなかったはずだ。ただあの時始めて地震が怖いと思った、その経験は忘れない。まだ幼かったからなおさらである。

さて今回の地震は早朝に起こった。
5時7分頃―――まだ就寝中である。といってもあまり眠りが深いほうではなく起床時間に近いこの時間の私はまどろんでいたといってよい状態だった。

そして私は再び聞いた―――北方から近づく音を。

震源地は海である。海は南の方角にある。でも確かに地響きは北側から聞こえてきた。小学生の頃に聞いたよりずっと低音で小さかったが間違いないと思う。私の家は小学校よりより多少南側にあり山からは離れているので轟音とまでは行かなかったのだろう。
ただまだ起きていない頭ではその音が何かは判別できなかった。何の音だろう?とぼんやり思っているうちに揺れが来た。
あぁそうか、地震だったのか…横になったまま意外なほどに落ち着いて思い出した私がいた。

私の部屋の西側は天井まですべて本棚である。私は横になったままその本棚をぼんやり見つめていた。
あの天井に近いあたりから本が1冊でも落ちてきたら避難しよう……漠然とそんなことを思いながら。

しかし本は落ちてくることはなく、揺れも落ち着いたので私は結局いつもの時間まで起きる事はしなかった。
今地区の班長である両親は地震直後に起き出して近所中の安全確認をしていたのに比べてなんとも使えない子供である。

ただ…私にも言い分がある。

実は昨日は私の誕生日だった。いまさら祝う年齢でもないが何もこんな日に面倒なことが起きなくてもいいんじゃないか、と思ったのだ。一応新しい節目の日の朝である。何事もなかったように過ごしたいと思ってはいけないだろうか?
けたたましく地震の情報を伝えるニュースを横目にそんな個人的な心情で「日常」を過ごしたのだった。


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